雑の食

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【昔話シリーズ】”サラサラコットン”

時は小学3年生の夏。

当時の僕達はまだタイヤバトル等に興じず、サッカーやドッヂボール等で遊んでいたのだが、ある日を境にとある崇高な芸術品作成にハマり込んでしまった。

 

そう、泥だんごである。

 

一応言っておくが小学3年生まで泥団子を作った事が無かった、と言う訳ではない。

久々に作ってみようか、という流れで作り始めたら皆本気(ガチ)になってしまい、果ては低中学年全体を巻き込んだブームとなったのだ。

 

 

まず朝の休み時間に良質な泥を丸め、微乾燥、昼休みに整形、表面の光沢を出す。よくあるオーソドックスな泥団子の作り方だ。

が、作り方は幾通りもあるが綺麗な泥団子を作成するために必要な

 ”きめ細かくサラサラとした混じり気の少ない砂”

 が僕の通っていた学校の運動場には少なかったのだ。

結果、学校のD値(泥だんごのクオリティの平均値)は低いまま皆泥団子づくりを続けていた。なんとも嘆かわしい。

 

発見

 

 

そんなブームの最中、皆が皆靴箱に泥団子を保管しているのが常識となり、運動場のど真ん中で土いじり倒す生徒で溢れている中、サラサラの砂を探すことに注力し、遂に校舎裏・花壇の端っこでキメ細やかな綺麗な砂を見つけた生徒3人組が居た。

その3人とは、同じ3年生のWくん、Dくん、そして僕こと少年P。

それぞれ、まるで本物の砂金を手に入れたが如くの欲を見せ、ありったけのサラサラ砂をポケットにぶち込み、近くにあった袋にもぶち込み皆には内緒で持ち帰ることにした。(バレるだろ)

 そして母にバチバコに怒られた。

 

ウォール街への進出

 

僕が家で母にバチボコに叱られた次の日、僕はなんと風邪をひいてしまい学校を休んでしまったのだ。砂に雑菌がわんさかいたんだろうか。

風邪でえれ~中、僕の頭の中には「サラサラの砂が…無くなってしまう…!」という懸念だけが縦横無尽に駆け巡っていた。

そんな心配をしても学校にいけないものはいけない。と言ってもぶっちゃけ風邪で休めてラッキーとドラゴンボールを見ながらゲームをしていた記憶がある。

風邪で休んだ日のゲーム、滅茶苦茶捗りませんか?

 

……

 

次の日、風邪が治り登校してすぐにサラサラ砂エリアに行くと、驚くことに大量の生徒がひしめき合って団子を作っていた。

…何故バレた?いや、バラしたのか?僕たちだけの秘密じゃなかったのか?そんな気持ちを抱えながら教室に向かい授業を受け、中休みとなり(あの昼休みの前の休み時間なんていうんすかね。)WくんとDくんを問い詰めることにした。

結論からいうとモノの事情はこうだ。

「WくんとDくん、サラサラ砂を”サラサラコットン”と命名し独占する」

「その後、サラサラコットンを使用した泥団子をみんなに見せる」

「こんなきれいな泥団子、作りたいですよね?奥さん」

「袋詰めに集めたサラサラコットンをビー玉や給食のデザートと引き換えに小売りする」

「まだ少しでも残ってるだろ!とサラサラコットンの残りカスに生徒が群がっていた」

 

という事らしい。えげつない。

結局ほんとにデザートを差し出してサラサラコットンを買った人間はそんなに多くはないのだけれど今考えると子供ながらにしっかりしているなァと感心してしまった。

 

後日談としては、サラサラコットンを袋で持ち歩いてる事をド叱られて元の場所に捨てさせられていました。

 

終わり