昔の話です。
小学生の頃、周りに田んぼ・川・山しかない田舎で育った僕たちは当時流行っていた”アレ”を手に入れる為には少し栄えている街に繰り出さないといけませんでした。
そう、アレとは…”遊戯王カード”
田舎なので駄菓子屋的なものは有るにはあったんですけど遊戯王カードなんて取り扱っている訳もなく。
一応にぎわっている隣町の商店街に行っても何故かデュエルマスターズのパックしか置いて無かったので遊戯王カードが欲しければわざわざ遊戯王が売ってある遠いモールとかにまで行かなければいけなかったのです。
それで、毎回親に車を出してもらうのは無理だし休日もそんなに頻繁に行く事も無いので、片道15km(今調べた)を遊戯王の為にチャリで走る、と言う行為を1月に1回くらい同級生とやっていたんですね。
…
まず朝起きて8時頃同級生と合流、活動開始です。
途中途中ある国道沿いのコンビニでも運試しで遊戯王のパックを買って剥いていくの、滅茶苦茶楽しかった覚えがあります。
旅の最初でホログラフィックレアとか引くともうその日は何しても楽しいみたいな感じになるのがこの旅の醍醐味です。
そして遠く離れた目的地であるショッピングセンターで昼飯を喰らい、カードを買う…はずだったんです。
なんとその近くにカードショップと言う物があったんです。初の遭遇です。
大人がカードを買ってカードで遊んでいる…
カードしかない店…今思い出すと滅茶苦茶ヤバい店だなと思った記憶があります。
実際やべぇな。
そこでカードをアルバムから選んで買う、と言う行為を知ってカードを購入したんですけどパックで当てた方が楽しいな…と皆そこまでテンションが上がっていませんでした。
問題はここからです。
実はこの頃から既に知り合いの兄の影響でオタクコンテンツに興味が出始めたせいで同級生にバレないよう、ちょっとオタクっぽいショップで安いフィギュアを買おうと思ったのです。
どうやって隙を見て行こうかなー置いてかれても嫌だしなぁと考えていると同級生の人が「ライディングデュエルしようぜ!」
と言いだしました。
ライディングデュエル?どうやって?と話していると、「ショッピングモールを3周するまでデュエルをして前のかごにカードを置いてデュエル」という普通に危険だし周りに迷惑をかけそうだけど面白そうな提案でした。そして僕はそこで賢いのでピカンと来たんですね。
プランとしてはこうです。
1.ライディングデュエル改めサイクリングデュエルを始める
2.トイレに行きたいから順番は後でいいよと譲る
3.トイレに行く振りをしてフィギュアを買いに行く
これです。
いざいざいざ、とデュエル開始とともにトイレに行きらき☆すたの泉こなたの900円くらいのフィギュアを購入。(小学生の財布には痛かったけどこれしか買えなかった)
そしてみんなに合流すると、Kくんと言う子が自転車に添い寝をして泣いていました。
どういう状況だよと思ったのですがよく見ると転んだみたいです。
自転車でこけただけで泣くなよと思ったんですけど答えはかごの中にありました。
カード屋で買った「BF-アーマード・ウィング」がへし折れていたんですね。
それだけです。
で、僕はフィギュアを持って無事家に帰ったんですけど、家に帰って「こんなの親に見せられねぇな…」「あんま要らないな…」「お年玉貯めてひぐらしのフィギュアにすればよかった…」と思いタンスの奥に泉こなたを封印して十年後、成人した僕が大掃除で発掘するまで泉こなたを見る事はありませんでした
終わり