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小学生時代、休み時間の戦争【昔話シリーズ】

小学校の頃、運動場にタイヤを4つボルトとナットでくっつけてある遊具があった。

 

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この写真では金具で固定されていないけど形はこう。

 

この遊具の遊び方は手で押して転がして遊んだり、砂場を均したりとあるのだけれども

小学生のボクを一番熱狂させた遊び方がある。

玉乗りのように乗って対面した相手と落とし合うゲーム

この遊具を2つ用意して向かい合い、玉乗りのようにして進み、手で押し合ったりして相手が落ちたら勝ち。細かい所としては、1体1、開始時は距離を取る、等

単純なルールだからこそめちゃくちゃにハマった。

 

想像がつくと思うがこのゲーム、バランス力がモノを言うのでこれを経験した同級生達は並大抵じゃないバランス力を獲得したに違いない。

あまり大きな声では言えないが中学生の頃自転車の二人乗りをして荷台の後ろでゴールデンボンバーの「女々しくて」が踊れるようになっていた程。

 

いらん話は置いといて、一応反則行為として

・髪を引っ張る

・金的

・目潰し

・鼻に向かってのパンチ

安全のためにも不仲が起きないようにもこのルールだけは設けた。

しかしそれ以外は何をやっても良いということでいろんな戦い方が生まれたので覚えている限りで数個書き出して行く。 

スタンダード

名前は今決めた。最もポピュラーな戦い方であり、一番安全だった。

ルール通り玉乗り状態で進み、平手で相手の体を押し、相手を落とす。

相手の体を押し、その反動で戻ることで前のめりになる攻撃時のデメリットが薄くなる。

押される側も落ちた時の受け身の取り方が下手なら仕方がないが、攻撃されたときに怪我をする事はまずないし、要はつっぱりなので殴られたときもさほど痛くない。

バランス力がなかったり、安定性を求めるタイヤバトラー(今決めた)はこの戦法を好んでいた。

 

スピードスター

実際にこの戦法を使う時はこう呼んでいた。

”スピード”の名の通り開始時の地点から高速で玉乗りをし、力強く相手のタイヤにぶつかりかなり前のめりになって連続で押しまくる。

バランス力のないタイヤバトラーだとタイヤ衝突時に落ちてしまう事もままあった。

衝突に耐えてもバランスを安定させるまでの隙を狙い猛攻を仕掛け、相手を落とす。

強力な戦法ではあるが、相手を仕留めきれないと前のめりに倒れるのは自分である。

そしてスピードスターを使うにはある程度バランス力を持っていないと玉乗り走行時に自分で落ちてしまう。中級者向きの戦法だった。

 

タックル

文字通り、タイヤがぶつかった後相手のタイヤに片足を乗せ体すべてで相手を吹き飛ばすワイルドかつパワフルな技。

もちろんこの技を使えるのは身長が高い、もしくは体が大きい生徒で少し経験を積んだタイヤバトラーのみ。

尚且つタックル読みで相手がタイヤを下げたら足場を失い落ちるのは自分なので動きを読む力、勝負勘が試される中~上級者向けの技。

 

フラミンゴ

最も強い戦法で、最も自分にもリスクが有る戦法だった。

ただでさえバランスの悪いタイヤ上で片足になり、もう片方の足で相手の腹に蹴りを入れる。

クリーンヒットすればタイヤから落ちるのは間違いないが、相手の怪我をする確率が上がり不穏が起きる可能性だけでなく、攻撃後自分も怪我をする可能性が高い。

そして攻撃が浅く、足を掴まれたりなんてしたら落ちて負傷するのは自分だけ。

ギャンブラーな戦法だった。

 

戦法はまだ色々あったが、キリがないのでココまでにするとしてその当時のボクらには大きな問題が1つあった。

 

タイヤの数が限られているのでクラス、ひいては学校全体で取り合いになることがままあった。

この遊びが流行り始めた当初はタイヤに価値を見出して居たのがボク達だけだったのでそんなことも無かったのだが、ボクらが遊びいやさ”””””競技”””””を発展させ周りを魅せてしまったことでタイヤバトラーになりたい生徒が増えてしまったのだ。

 

最初は「2つある休み時間の内前半と後半で譲り合う」「じゃんけんで決める」「休み時間数分ごとで譲る」などでなんとか平和に過ぎていた。

 

しかし人間。小学生も人間であるからして争いからは逃げられない。

今までは小学生だからこそ純粋な闘争、殴る蹴る掴み合うの可愛い”喧嘩”

『戦争』はある上級生達による行為で起こった。

下級生をタイヤから突き落とし怪我をさせ、タイヤを強奪したのだ。

小学生は子供だしそういうこともするだろう、多少なりとも大人になった我々はそう思うが当時のボクら小学生は勿論激怒。ここに小さな戦争が起きたのだった。

 

そして翌日学校に来るとクラスメートから話しかけられ話を聞くと、クラスに1人いる「喧嘩自慢をするが実際にはやられると先生にすぐ泣きつくタイプ」の生徒が上級生に宣戦布告をし、タイヤの所有権を賭けてタイヤバトルをするとのこと。

 

ルールは5vs5、レギュレーションは通常通りでタイヤバトルが始まった。

大将戦を務めたモノの、流石はタイヤバトルの先駆者であるクラス。

1戦もくれること無く上級生に3連勝し、完勝したのだ。

出番がなかった。

前述の事件からしてこれで終わるとは思っていなかったが、やはり過激派。

またもや暴力に訴えタイヤを奪おうとしたのだ。

ここで体の大きなボクはなんとか上級生を抑えて先生を呼びに行かせ難を逃れた。

はずだった、がここでボクらを襲った悲劇。

タイヤバトル、ひいてはタイヤの使用の禁止を学校から降されたのだ。

タイヤを賭けて争ったと言うのにタイヤを武装のように、タイヤを危険なモノとして封印されてしまった。非核三原則かよ。非核三原則ではないです。

 

そして半年後、皆が記憶からその戦争が消えようとしていたその時非タイヤ三原則は改定された。が、もう熱いタイヤバトラーの血を持ったモノは残っていなかった。

タイヤバトルは小さな国の片田舎に確かにあったと言うのにその存在はボクの思い出に残っただけだった。